1. 高効率給湯器とは?
家庭で使うエネルギーのうち、約3割を占めるのが給湯エネルギーです。(※1)お風呂の湯はりや追い焚きをしたり、キッチンの洗い物でお湯を使ったりと、日々生活するなかで意外と大きなエネルギーを消費しています。
そこで光熱費の節約に役立つのが高効率給湯器。従来のガス給湯器と比べて、少ないエネルギーで効率よくお湯を沸かせる給湯器です。同じ量のお湯を沸かしても、従来のガス給湯器と比べてガスや電気の使用量を抑えられるので、ストレスなく光熱費を節約できます。
参考:https://www.enecho.meti.go.jp/about/energytrends/202506/pdf/energytrends_all.pdf

2. あなたに合う高効率給湯器の選び方
ここでは、設置場所の状況やあなたの考えに合わせた、おすすめの高効率給湯器をご紹介します。
あなたの状況 | おすすめの高効率給湯器 |
---|---|
・広めの設置スペースが確保できる ・断水時の生活用水を確保したい |
エコキュート |
・設置スペースに制限がある ・初期費用を安く抑えたい |
エコジョーズ |
・広めの設置スペースが確保できる ・停電時も電気とお湯を確保したい ・初期費用にはこだわらない |
エネファーム |
・広めの設置スペースが確保できる ・電気とガスのどちらかが止まってもお湯を確保したい ・初期費用が高くてもよい |
ハイブリッド給湯器 |
あなたの状況 | おすすめの 高効率給湯器 |
---|---|
・広めの設置スペースが確保できる ・断水時の生活用水を確保したい |
エコキュート |
・設置スペースに制限がある ・初期費用を安く抑えたい |
エコジョーズ |
・広めの設置スペースが確保できる ・停電時も電気とお湯を確保したい ・初期費用にはこだわらない |
エネファーム |
・広めの設置スペースが確保できる ・電気とガスのどちらかが止まってもお湯を確保したい ・初期費用が高くてもよい |
ハイブリッド給湯器 |
2-1. 設置スペースは限られている?
設置スペースが広くとれるかどうかによって、選べる給湯器が変わります。貯湯タンクのある給湯器を導入する場合、庭や広い設置場所が必要です。
たとえば、エコキュート(370L/角型)を設置するには、おおよそ「横幅2.1m、奥行き0.8m」程度の屋外スペースが必要になります(※2)。貯湯ユニットの奥行きがおよそ半分の薄型モデルもありますが、ベランダや通路などの限られたスペースしかないマンションや都市部住宅では、貯湯タンクのないエコジョーズが現実的な選択肢といえるでしょう。
※2 三菱電機のSシリーズ(370L)の角型(貯湯ユニット高さ1820mm×幅630mm×奥行き760mm、ヒートポンプユニット高さ715mm×幅865mm×奥行き310mm)のサイズを基に、横並びで置く場合の設置制約やメンテナンススペースを考慮した目安です。設置場所の条件によっては、さらにスペースが必要になる場合があります。
2-2. 初期費用とランニングコストのどちらを重視する?
給湯器を選ぶときに、最初にお金をかけるか、毎月の費用を抑えるか、どちらを重視するかによって選ぶべき給湯器も変わってきます。
ハイブリッド給湯器やエネファームといった高性能なタイプは、省エネ効果や機能が魅力的な反面、導入時の費用が高くなります。
そのため、初期費用を抑えたいとお考えの方には、エコジョーズがおすすめです。ハイブリッド給湯器などよりも本体価格が安く、既存のガス配管をそのまま使用できることもあるため、初期費用重視の方にはぴったりな選択肢でしょう。
また、ランニングコストを重視したい方には、エコキュートがおすすめです。エコジョーズよりも初期費用は高い傾向にありますが、夜間の安い電力を使ってお湯をつくることができるため、長い目で見ると光熱費の節約効果が見込めます。
2-3. 災害時の備えについてどう考えている?
近年災害が多くなっている中で、給湯器選びでも災害時の備えを重視される方が増えています。
災害対策として最も優秀なのがエネファームです。ガスと水道が供給されていれば、停電が起きても電気とお湯を自分でつくり続けることができます。
また、ハイブリッド給湯器は電気とガスの両方を使えるシステムなので、どちらか一方が止まってしまってももう片方が供給されていれば、給湯を続けることが可能です。
そのほか、エコキュートの貯湯タンクも災害時には活躍します。断水が起きた際にはタンク内の水を生活用水として使用することができるため、災害時の心強い存在となるでしょう。

3. 高効率給湯器は大きく分けて4種類
高効率給湯器は、大きく分けると「エコキュート・エコジョーズ・エネファーム・ハイブリッド給湯器」の4種類。
ここからは、それぞれの給湯器の仕組みや特徴を詳しく解説します。
3-1. エコキュート
エコキュートとは、電気を使うタイプの高効率給湯器。日中に比べて割安な夜間電力を使い夜のうちにまとめてお湯を沸かせるため、とても節約効果の高い商品です。
貯湯タンクを備えているため、設置には広いスペースが必要ですが、災害時にはタンク内の水を生活用水として利用できる点がメリットでしょう。
エコキュートで気になるのが、貯湯タンク内のお湯を使い切ってしまう「お湯切れ」。しかし多くのエコキュートには、過去の使用湯量を学習してちょうどいい量のお湯を沸かす機能や、お湯が不足しそうなときに沸き増しする機能がついているので、よほどのことがない限りお湯切れの心配はありません。頻繁に沸き増しするとエネルギー効率が悪いので、家族構成や生活スタイルに合わせたタンク容量を選ぶことが大切です。
エコキュートのタンク容量 | 家族人数の目安 |
---|---|
370L | 2〜4人 |
460L | 4〜5人 |
550L | 5〜7人 |
エコキュートのタンク容量 | 家族人数の目安 |
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370L | 2〜4人 |
460L | 4〜5人 |
550L | 5〜7人 |
エコキュートのおすすめ商品
3-2. エコジョーズ
エコジョーズとは、ガスを使うタイプの高効率給湯器です。従来のガス給湯器で捨てられていた排気熱を再利用することで、少量のガスで効率よくお湯を沸かすことができます。貯湯タンクはなく、お湯を使うときにその都度沸かす仕組みなので、設置スペースの問題やお湯切れの心配はありません。
エコジョーズでは、従来のガス給湯器と比べてガス使用量を約13%にカットでき(※3)、ガス代が年間17,000円お得になるという試算もあります。(※4)(2025年7月現在)同居人数の多いご家庭や、1日に何度もお風呂に入る方など、使用湯量の多い方ほど削減できる費用も大きくなるでしょう。
エコジョーズの号数 | 家族人数の目安 |
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16号 | 1人 |
20号 | 2〜3人 |
24号 | 4人以上 |
エコジョーズの号数 | 家族人数の目安 |
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16号 | 1人 |
20号 | 2人 |
24号 | 2〜4人 |
※3 Rinnaiの従来品RUF-A2400AW[1.7W]とRUF-E2406AW(A)[0.8W]との比較
※4算出条件:年間給湯負荷18.3GJ(給湯16.6GJ、おいだき1.7GJ)平成28年省エネルギー基準に準拠した「エネルギー消費性能計算プログラム(住宅版)Ver.3.5.0」による。ガス料金/LPガス:5.9円/MJ(日本ガス石油機器工業会が定めるガス料金の目安より) 石油情報センター令和4年度月次平均価格(50m3)データの単純平均より算出。
3-3. エネファーム
エネファームとは、都市ガスやLPガスから電気をつくりだす家庭用燃料電池です。電気をつくるときに発生する熱を活用して、電気といっしょにお湯もつくることができます。ガス代は増えますが、電気代を減らすことができ、トータルの光熱費の削減が期待できるでしょう。
エネファームのメリットは、災害時の備えになること。停電時に電力を確保し、貯湯タンク内のお湯も使うことができます。
デメリットは、沸かしたお湯は貯湯タンクに貯めて使うので、広めの設置スペースが必要なこと。また導入コストはエコキュートやエコジョーズに比べて高めです。
3-4. ハイブリッド給湯器
ハイブリッド給湯器とは、エコキュートとエコジョーズの利点を組み合わせた高効率給湯器です。エコキュートと同じように電気でお湯を沸かし、貯湯タンクのお湯を使い切ったらガスを使ってすばやく必要な分のお湯を沸かします。
ハイブリッドという言葉のとおり、効率よくお湯を沸かせる電気の良さと、短時間でお湯を沸かせるガスの良さを組み合わせた給湯器です。ただしエコキュートやエコジョーズに比べて、初期費用が高額になります。

4. 高効率給湯器リフォームで光熱費を節約するポイント
従来のガス給湯器から使い方を大きく変えたくない場合は、ガスで効率よくお湯を沸かすエコジョーズがおすすめです。貯湯タンク不要でサイズ感もほとんど変わらないので、敷地に制限がある家でも設置しやすいですが、マンションの場合は管理規約によって給湯器の交換が制限される場合がありますので、事前に管理組合や管理会社にご確認ください。
エコジョーズよりも光熱費削減効果が高いといわれているのは、割安な夜間電力でお湯を沸かすエコキュートです。IHクッキングヒーターなどを同時に取り入れてオール電化にすると、ガスの契約も不要になります。
エコキュートを設置するなら、いっしょに太陽光発電を導入するのもおすすめ。エコキュート向けの夜間電力が安いプランには「昼間の電気料金が高い」という弱点がありますが、昼間は太陽光発電の電気を使うことでその弱点をカバーできます。
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5. まとめ
高効率給湯器を導入するには交換費用がかかるものの、毎月の光熱費をぐんと節約することができます。古い給湯器を使っていると、余計な光熱費がかかることもあるので、給湯器の寿命である10年前後を目安に交換を検討しましょう。
高効率給湯器は大きく分けて4つの種類があります。どの給湯器が自身に合っているのか分からない場合は、詳しいリフォーム会社や家電量販店に相談するのがおすすめです。
あわせて、リフォーム補助金の利用や太陽光発電やオール電化住宅との組み合わせなどもアドバイスをもらうとよいでしょう。