1. キッチンのレイアウトはリフォームで変えられる?
キッチンのレイアウトは、条件が合えばリフォームで変更できます。壁付けのI型キッチンを対面式にしたり、反対に対面式を壁付けへ変えたりすることも可能です。
ただし、キッチンの向きや位置を変えるときには、キッチン本体を単に移動すればよいというわけではありません。給排水管・換気扇のダクト・電気配線・ガス配管なども新しい位置まで移す必要があり、あわせて床や壁の補修も発生します。
また、マンションで気をつけたいのが、管理規約や排水管の位置、床下の構造によって移動範囲が限られる場合があることです。戸建て住宅でも、構造上動かせない壁や柱があると、希望通りのレイアウトにできないケースもあります。
どのようなレイアウトなら実現できるかは住まいの条件によるため、まずはリフォーム会社に相談しましょう。ここからは、使いやすいキッチンにするために押さえておきたいレイアウトのポイントをご紹介します。
1-1. レイアウト変更で確認したいこと
キッチンのレイアウトを変えるときは、本体のサイズだけでなく、まわりに置く物の配置まで含めて考えることが大切です。例えば、冷蔵庫や食器棚の位置、ダイニングテーブルとの距離、電子レンジや炊飯器、ゴミ箱の置き場所などを考えておくと安心です。キッチン本体は設置できても、これらの配置に無理があると「冷蔵庫の扉が開けにくい」「ゴミ箱が通路にはみ出す」などの不便につながることがあります。
あわせて、今のキッチンで不便に感じていることがあれば整理しておきましょう。例えば「作業スペースが狭い」「調理中に家族が後ろを通りにくい」「冷蔵庫がダイニングから遠い」など書き出しておくと、どのようなレイアウトが暮らしに合っているか判断しやすくなります。
1-2. ワークトライアングルと通路幅を確認する
使いやすいキッチンを実現するために知っておきたいのが「ワークトライアングル」と「通路幅」の2つの寸法です。
ワークトライアングルとは、冷蔵庫・シンク・コンロを結ぶ三角形の動線のことで、3辺の合計が360〜660cm程度に収まると使いやすいとされています。この3つの距離が近すぎると作業スペースが窮屈になり、反対に遠すぎると移動が増えてしまいます。
通路幅はキッチンに立つ人数の違いで必要な幅が変わります。1人で調理することが多いなら90cm前後、2人以上で並んで立つなら120cm前後あるとすれ違いやすいでしょう。ただし、通路を広く取りすぎると、リビングやダイニングが狭くなるため、LDK全体のバランスを見ながら決めましょう。
2. I型キッチンの特徴
I型キッチンは、シンク・作業台・コンロを横一列に並べたレイアウトです。壁に向けて設置する「壁付けI型」と、リビング側に向けて設置する「対面式I型」の2種類に分けられます。対面式I型は、キッチンの前に手元を隠す腰壁やカウンターを設けることが多く、リビング・ダイニングと向き合って使える点では*ペニンシュラキッチンに近いレイアウトです。
*ペニンシュラキッチン(半島型キッチン)
左右どちらか一方の端が壁に接している、片側オープンタイプの対面キッチンです。
「ペニンシュラ(Peninsula)」は英語で「半島」を意味します。
キッチンの壁から半島のように突き出た形状が、名前の由来になっています。
リビング・ダイニング側に向けてオープンに開かれているため、開放感と使いやすさを両立できるのが特徴です。
2-1. I型キッチンのメリット・デメリット
壁付けI型キッチンのメリットは、省スペースで設置できることです。キッチンを壁側に寄せることでリビングやダイニングを広く取れ、ダイニングテーブルを近くに置くと配膳や片付けの動線も短くなります。シンプルなつくりで費用を抑えやすく、壁に向かって調理に集中しやすいのもメリットです。
一方で、調理中はリビングへ背を向けるため家族の様子が見えにくく、ダイニング側からキッチンの手元が見えて生活感が出やすいのがデメリットです。
対面式I型は、間仕切り壁で手元を隠せて来客時もすっきり見え、背面に家電や食器の収納をたっぷりと確保しやすいのがメリットです。
ただし、壁付けI型キッチンより広いスペースが必要で、通路幅が足りないとキッチン内が窮屈になります。
2-2. I型キッチンが向いているお家
壁付けI型キッチンは「LDKを広く使いたい」「キッチンスペースが限られている」というお家に向いています。ダイニングテーブルをキッチンの近くに置くと、振り返るだけで配膳や片付けができるので、「家事効率をよくしたい」という方にもおすすめです。
3. ペニンシュラキッチンの特徴
ペニンシュラキッチンは、壁で仕切られていないオープンキッチンの一種です。その中でも「ペニンシュラ=半島」という名前の通り、左右どちらか一方が壁に接している形になります。開放感を取り入れつつ、四方が壁から離れたアイランドキッチンに比べ、片側が壁に接するぶん省スペースで設置できるのが特徴です。
3-1. ペニンシュラキッチンのメリット・デメリット
ペニンシュラキッチンのメリットは、家族と会話したり、リビング・ダイニングの様子を見守ったりしながら調理できることです。片側が壁に接しているため、左右に通路が必要なアイランドキッチンよりもコンパクトに設置できます。
一方デメリットは、オープンなつくりゆえに、リビング側から手元やキッチンまわりが見えやすいこと。また、リビング側に油はねが飛ぶのを防ぐためにコンロ前へガラスパネル等を設置したり、調理中のにおいや煙が広がらないよう高性能なレンジフードを選んだりといった工夫が必要になります。
3-2. ペニンシュラキッチンが向いているお家
ペニンシュラキッチンは「家族と会話しながら料理したい」「子どもの様子を見ながらキッチンに立ちたい」などの理由で対面式のキッチンを求めている方に向いています。また、間仕切り壁やカウンターのあるI型キッチンと比べると、ペニンシュラキッチンはオープンなつくりのため、「広々と開放的なLDKをつくりたい」という方におすすめです。一方でアイランド型のように左右に通路は必要ないため、「開放感がほしいけれど、アイランドキッチンを置くような横幅はない」というお家にちょうどよい選択肢です。
4. L型キッチンの特徴
L型キッチンは、シンクとコンロをL字型に配置するレイアウトです。作業スペースを広く取りながら、シンクとコンロの距離を短くできるのが特徴です。壁に沿って設置するほか、片側を対面式にすることもできます。
4-1. L型キッチンのメリット・デメリット
L型キッチンのメリットは、「作業スペースの広さ」と「動線の短さ」を両立できることです。I型やペニンシュラでも横に長くすれば作業台は広げられますが、そのぶんシンクとコンロは離れてしまいます。その点、L字型なら体の向きを変えるだけでシンクとコンロを行き来でき、広い作業スペースをとりつつ移動はコンパクトです。下ごしらえ、加熱、盛り付けなどを同時に進めやすく、2人以上でキッチンに立っても余裕を持って作業できるでしょう。また、L字の片側を対面式にすれば、リビングやダイニングとのつながりを持たせることもできます。
L型のデメリットは、奥行きのあるスペースが必要なこと。また、コーナー部分の収納は奥の物が取り出しにくく、デッドスペースになってしまう場合があります。最近では、このコーナー部分の使いにくさを理由に、L型からI型へレイアウト変更するケースも多く見られます。
4-2. L型キッチンが向いているお家
L型キッチンは、LDKやキッチンスペースに十分な広さがあるお家に向いています。そして、「品数の多い料理を作る」「家族で一緒に料理する」など、広いスペースと使いやすい動線の両方がほしい方、シンクとコンロの行き来のしやすさを重視する方向きです。
5. アイランドキッチンの特徴
アイランドキッチンは、ペニンシュラと同じ対面式のオープンキッチンでありながら、四方が壁から離れ、「アイランド=島」のように独立しているレイアウトです。左右どちらからも出入りできるため、キッチンをぐるりと回れる「回遊動線」をつくれるのが特徴です。高い開放感やデザイン性も際立ちます。
5-1. アイランドキッチンのメリット・デメリット
アイランドキッチンのメリットは、四方に通路があることで生まれる自由な動線です。複数人でキッチンに立っても移動しやすく、配膳や片付けもスムーズです。また、空間の主役として見せるデザイン性の高さもあり、キッチンに立ちながらLDKを見渡すこともできます。
一方で、四方すべてに通路をつくるため、広い設置スペースが必要です。十分な広さがないお家に設置すると、リビングやダイニングが狭くなってしまいます。また、手元やキッチンまわりが見えやすく、におい・煙・油はねが広がりやすい点にも注意が必要です。キッチン本体の価格も他のレイアウトに比べて高めになります。
5-2. アイランドキッチンが向いているお家
アイランドキッチンは、LDKに十分な広さがあるお家に向いています。特に「キッチンを空間の主役として見せたい」「家族や友人と一緒に料理を楽しみたい」という方におすすめです。オープンなつくりで水はねや油はねも床に飛び散りやすいため、こまめに片付けや掃除ができる方に向いたレイアウトでもあります。生活感を隠すため、パントリーなどの収納を確保するのもよいでしょう。
6. キッチンレイアウトのリフォームで失敗しないポイント
キッチンのレイアウトを選ぶときは、見た目だけでなく、毎日の使い方に合っているかどうかを確認することが大切です。家族構成や調理の頻度、収納量、片付けのしやすさ、来客の多さなどによって、合うレイアウトは変わります。ここでは、後悔しないための3つのポイントを紹介します。
6-1. キッチン単体ではなくLDK全体で考える
キッチン単体では使いやすくても、LDK全体で見ると通路や動線に問題が出ることがあります。例えば、対面式キッチンやアイランドキッチンは、キッチン本体の奥行きに加えて通路分の広さも必要です。壁付けキッチンから対面式に変えるときは、リビングやダイニングが窮屈にならないか確認しましょう。
また、キッチン内の使い勝手だけを考えて配置すると、「作った料理をダイニングまで遠回りして運ぶ」「食器を下げるのにキッチンとテーブルを何度も往復する」などの使いづらい動線になってしまうこともあります。ダイニングテーブルや収納などの位置関係まで考えることが大切です。
6-2. 冷蔵庫・収納・ゴミ箱の位置まで決めておく
キッチンリフォームで見落とされがちなのが、冷蔵庫・食器棚・家電収納・ゴミ箱の置き場所です。ここを後回しにすると「冷蔵庫が遠くて使いにくい」「リビング側からゴミ箱が目立つ」などの後悔につながります。
とくに冷蔵庫は、家族の使い方で最適な位置が変わります。冷蔵庫にある飲み物や食材を家族がよく取りに来るご家庭なら、調理する人の邪魔にならず、家族もサッと開けられるダイニングの近くに冷蔵庫があると便利です。一方、「リビングから冷蔵庫を見せたくない」「生活感を隠したい」という場合はキッチンの奥やパントリー内に置くケースもありますが、その場合は人がスムーズにすれ違える十分な通路幅をとるとよいでしょう。
食器棚はシンクや食洗機、ダイニングとの距離を意識すると配膳や片付けがラクになり、ゴミ箱は分別数に合わせた置き場所を先に確保しておくと通路にはみ出しません。すっきりしたキッチンにしたいなら、物の置き場所を先に決めておくことが大切です。
6-3. ショールームでは見た目だけでなく動き方も確認する
システムキッチンを選ぶときは、メーカーが実物を展示している「ショールーム」に足を運ぶのが一般的です。ずらりと並んだきれいな展示を前にすると、つい天板の色や扉のデザインなど、見た目にばかり目が行ってしまいがちですが、ショールームは「実際の動きやすさ・使い勝手」を確かめられる、またとない機会でもあります。
せっかくショールームへ足を運ぶなら、実際にキッチンの前に立って動きも試してみましょう。「シンク→コンロ→冷蔵庫の動線」「引き出しを開けたときに後ろの通路に余裕があるか」「調理スペース(ワークトップ)の高さが体に合うか」「手元がどのくらい見えるか」といった点は、写真や図面ではイメージしづらく、キッチンに立ってみて初めて気づくこともあります。
気に入ったレイアウトが見つかったら、自宅の間取りに本当に合うかを、リフォーム会社に相談しながら確認しましょう。ショールームでの”体感”と自宅の”条件”をすり合わせることで、失敗の少ないキッチン選びにつながります。
7. まとめ
キッチンのレイアウトには、I型・ペニンシュラ・L型・アイランドなどがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
I型は空間を広く使いやすく、ペニンシュラは開放感と省スペースのバランスが取りやすいレイアウトです。L型は作業スペースを広く確保しやすく、アイランドは開放感やデザイン性に優れています。
どのレイアウトも、通路幅やワークトライアングル、収納計画を考えずに選ぶと使いにくくなることがあります。見た目の憧れだけでなく、毎日の動き方に合うかを確認することが大切です。
また、キッチンのレイアウト変更は配管・電気・換気・構造・管理規約などの条件によって制限を受ける場合があります。希望するキッチンが自宅で実現できるか、まずはリフォーム会社に確認してもらいながら、暮らしに合うレイアウトを選びましょう。