1. 換気システムとは？
換気システムとは、24時間にわたって一定量の空気を入れ替える設備です。機械を使って空気の流れをコントロールすることで、窓を開けなくても新鮮な空気を取り入れることができます。
この換気システムは、新築や築浅物件であれば必ずついている設備です。住宅の気密性が向上したため、シックハウス症候群対策として、2003年7月の建築基準法改正で24時間換気システムの設置が義務付けられました。
それより前に建てられた住宅では設置されていないことがあるため、換気システムを後付けするリフォームが検討されることがあります。
2. 換気システムを取り入れるメリット
2-1. 窓を開けずに換気できる
窓開け換気は「1時間に2回、数分程度、窓を全開にするのを目安に（※）」などといわれます。1時間に2回というと、かなりの頻度。忙しくて窓を開けるのを忘れることもあるでしょう。一方、換気システムならスイッチを入れておくだけで、日中も夜間もよどんだ空気を入れ替えることができます。
※DAIKIN｜上手な換気の方法
※首相官邸・厚生労働省｜3つの密を避けるための手引き
2-2. 暖かさや涼しさを逃しにくい
窓開け換気のデメリットのひとつが、窓を開けたときに急激な温度変化があること。暖房で暖められた空気や冷房で冷やされた空気をなるべく逃さずに換気するのが、熱交換型の換気システムです。屋外の空気を室温に近づけてから取り入れることで、快適な室温をキープしながら換気ができます。外へ空気を排出するときの冷気・暖気の熱を再利用するので、冷暖房の負担を軽減し、電気代の節約にもつながります。
2-3. 窓からの騒音が気になりにくい
窓を閉めたまま換気できるので騒音が気になりにくいのも、換気システムの大きなメリット。騒音が気になる幹線道路沿いの家、お子様やペットの声が外に漏れるのが気になる家にも、換気システムのリフォームはとてもおすすめです。
2-4. フィルターで花粉やホコリを取り除ける
家の外の空気は、花粉やホコリ、PM2.5などで、思いのほか汚れていることがあります。なかには春になると花粉症で窓を開けられずにお困りの方、お子様のアレルギーが気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。フィルターが内蔵された換気システムなら、そういった外気の汚れをある程度フィルターでブロックしてから室内に入れることができます。
3. 換気システムの種類
換気システムを大きく分けると「第一種換気・第二種換気・第三種換気」の3種類。一般的に多くの住宅で採用されているのは、第一種換気または第三種換気です。それぞれの違いを押さえておきましょう。
3-1. 第一種換気
第一種換気は「機械排気＋機械給気」。排気と給気のどちらにもファンを使うため、3種類のなかで最も安定して空気の入れ替えができる設備です。具体的には三菱電機の「ロスナイ」や、パナソニックの「エアシー」などの換気空気清浄機があります。
そして第一種換気の大きな特徴が、熱交換型換気ができること。排気のときの冷気・暖気の熱を再利用して、外の空気を室温に近づけてから取り込むのが熱交換型換気です。換気によって外から入ってくる冷気や暖気による影響が少なく、電気代を節約しながら快適な室温をキープできます。
3-2. 第二種換気
第二種換気は「自然排気＋機械給気」。ファンで室内に新鮮な空気を送り込むことで、自然と排気口から空気が押し出されます。
第二種換気は室内が正圧になるため、他の部屋から空気を入れたくない病院の手術室やクリーンルームなどでよく採用されます。住宅で採用されることはほとんどありません。
3-3. 第三種換気
第三種換気は「機械排気＋自然給気」。ファンで空気を外に出し、給気口から自然と新鮮な空気が入ってくる仕組みです。トイレやキッチンの換気扇をイメージするとわかりやすいでしょう。
第三種換気のメリットは、コストパフォーマンスのよさ。第一種に比べると低コストでリフォームできる可能性があります。しかし第三種換気では熱交換型換気が採用できず、エアコンで暖めたり冷やしたりした空気がそのまま外へ出ていってしまうのがデメリットです。
4. リフォームで換気システムを選ぶポイント
一般住宅で採用される換気システムは、第一種換気もしくは第三種換気です。今ある換気扇や換気口を活用して、熱交換型やフィルター付きの換気システムにリフォームできるケースもあります。
通常の窓開け換気では、室内の冷気や暖気が一気に逃げてしまうもの。「冬の暖かさ、夏の涼しさを逃さず換気したい」「エアコン効率を高めて電気代の負担を抑えたい」という方は熱交換型換気を選びましょう。なお熱交換型換気は、第一種換気のみ可能です。
第三種換気では熱交換型換気はできませんが、なかには室内のCO2濃度や人の動きをセンサーで検知して、自動で風量を切り替えられる商品もあります。ほしい機能に合わせて、商品選びをするのもよいでしょう。
5. まとめ
リフォームで換気システムを導入すると、温度変化や騒音、花粉などを気にせず新鮮な空気を取り込むことができます。どのような換気システムを後付けできるかは、家の状態によって異なるので、まずはリフォーム会社に相談するのがおすすめです。現在の換気扇や換気口などの状態を見て、どのような換気設備に交換できるか提案してもらえます。
