1. EV(BEV)とは?電気自動車の基本を知ろう
1-1. EV、BEV、PHEV、HEVの違い
電気自動車と一口に言っても、実はいくつか種類があります。まずは、それぞれの違いを簡単に整理しておきましょう。
・EV:電気で走る自動車全般。BEV、PHEV、HEVのすべてを含みます。
・BEV:100%電気で走るバッテリー式電気自動車。ガソリンエンジンを搭載せず、バッテリーに蓄えた電気のみで動作します。
・PHEV:電気とガソリンの両方が使えるプラグインハイブリッド自動車。外部電源からの充電も可能です。
・HEV:ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド自動車。外部からの充電はできず、走行中にエンジンやブレーキで発電した電気を使用します。
1-2. EVのメリット・デメリット
EVのメリットは、なんといっても燃料費の安さ(※)です。電気代・ガソリン代の価格変動はあるものの、電気はガソリンより単価が安い傾向にあり、夜間電力を活用すればさらにお得に。毎日の通勤で使えば、年間でかなりの節約になります。走行中に排気ガスが出ないので環境に優しく、走行音が静かなのも特徴です。
デメリットは、車両価格がガソリン車より高めなこと。また、最近は商業施設や公共施設の充電スポットが増えているものの、やはり自宅に充電設備がないと不便に感じることもあるでしょう。マンション住まいなど設置が難しい場合もあるため、購入前に充電設備の確認が必要です。

2. 家庭用EV充電器導入ガイド
2-1. 家庭用EV充電器のメリット
やはりEVを購入するなら、自宅に充電器があると便利。充電スポット探しから解放され、充電スポットの空き状況を気にしたり、充電のために時間を割いたりする必要もなくなります。毎朝、満充電で出発できるので、急な用事や長距離移動の際も安心です。
2-2. 急速充電と普通充電の違い
EVの充電には、急速充電と普通充電の2種類があります。2つの充電方法の違いは、出力(kW)の違いによる充電スピードです。
急速充電:高速道路のサービスエリアなどにある高出力の充電器で、短時間(30分程度)で80%程度まで充電できます。今すぐ充電したいという時に便利です。
普通充電:3〜6kW程度の出力で時間をかけて充電を行います。満充電までに数時間かかりますが、バッテリーへの負担が少なく電気代も安く済むのが特徴です。主に、自宅や勤務先などで利用されています。
2-3. 家庭用EV充電器の種類と特徴
家庭用EV充電器の設置方法は主に、「壁面取り付けタイプ」と「スタンドタイプ」に分けられます。壁面取り付けタイプは、外壁やガレージの壁に設置するもので、コンパクトで比較的安価です。スタンドタイプは、建物から離れた場所にも設置でき、設置場所の自由度が高いのが特徴です。
充電器の種類には、「ケーブル搭載タイプ」と「コンセントタイプ」があります。ケーブル搭載タイプは充電器に専用ケーブルが付いていて、すぐに充電開始できます。コンセントタイプは、車載ケーブルを使用して充電するタイプで、初期費用は抑えられますが、毎回ケーブルの出し入れが必要です。
2-4. 設置工事の流れ
家庭用EV充電器を設置する際は、まず業者による現地調査から始まります。最適な設置場所と配線ルートを決めて、既存の電気設備で足りるかもチェック。必要に応じて電気容量の増設も提案してもらえます。
工事当日は、分電盤から駐車場付近まで配線を引き、充電器を取り付けます。特別な準備は不要で、工事自体は数時間で完了するのが一般的です。
工事完了後は通電確認と使い方の説明を受けて完了。アフターサービスについても確認しておくと安心です。

3. EV対応の住まいづくり&リフォームのポイント
3-1. 太陽光発電システムを組み合わせる
EVの走行コストをさらに抑えたいなら、太陽光発電システムを組み合わせるのがおすすめです。昼間に太陽光で発電した電力をEVの充電に使えば、走行コストを抑えられる可能性があります。また、FIT (固定価格買取制度)が終了すると売電価格が下がってしまうため、余った電気をEVの充電に回した方が経済的。自分の家でつくった電気を有効活用できます。
3-2. V2Hで車を「動く蓄電池」に
通常のEV充電器は家庭からEVへの一方向の電力供給のみを行いますが、V2Hを設置すると、EVに蓄えられた電力を家庭で使用することも可能です。これにより、EVを「動く大容量の蓄電池」として活用できます。停電時には、EVの電気で冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電などができるため、災害時の備えとしても心強い存在になります。

4. まとめ
EVは単なる移動手段を超えて、住まいのエネルギーシステムの一部として活用できる時代になりました。経済的で環境に優しく、そして快適な暮らしを実現できる新しい選択肢です。
家庭用EV充電器の導入を検討する際は、単に充電器を設置するだけでなく、住宅の電気容量や駐車スペース、そして何よりご家族の生活スタイルに合わせた総合的な計画が大切です。太陽光発電システムやV2Hとの組み合わせも視野に入れることで、エネルギー自給自足型の住まいづくりや災害への備えも含めた、より豊かな暮らしを実現できるでしょう。
電気設備を含む住まいのリフォームを検討される際は、電気と住宅の両方に詳しい専門家にご相談されることをおすすめします。まずは近隣のリフォーム会社に、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。